中小企業こそ、今すぐリスキリング教育を開始すべき3つの理由

今、急激に注目度が上がっているキーワード「リスキリング教育」。すでに社内でのリスキリング教育について行動は開始できていますか?IT化、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が浸透してきた中で、多くのデジタルツールが生まれ、発展してきました。次に求められるのは、そう「人」のアップデートです!

この記事では、リスキリング教育についてポイントを抑えながら、中小企業こそがリスキリング教育を今すぐはじめるべき理由を紐解きます。

目次

そもそも、リスキリング教育とは?

リスキリングとは、Re-Skilling、日本語では「スキルの再開発」と訳されることが多いです。つまりリスキリング教育とは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必 要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させることを指します。

また、デジタル化によって新たに必要とされる職能を身につけたり、DXによって大幅に変化する仕事の進め方に対応できるスキルを身につけることを(狭義の)リスキリングと定義する場合が増えています。

混同しやすい言葉に「リカレント教育」があります。リカレントとは、循環を意味する言葉で、リカレント教育とは、一度社会に出た後も、自分自身のタイミングで一度仕事を辞め学び直し、また新たな仕事をするといった「学び→仕事→学び→仕事」を繰り返すあり方を指します。

一度仕事を離れるわけですので、リカレント教育は基本的に個人が自分の意思で行うものです。一方でリスキリング教育は、企業が自社の社員に対して新たなスキルを獲得させるために行う教育のニュアンスで使われ、さらに前述の通り「デジタル人材の育成」という目的が前提となっている場合がほとんどです。

(※リスキリングもリカレントもまだ世の中に浸透している言葉ではないので、今後その一般的な定義が少しずつ変わっていく可能性はあります。)

「Googleトレンド」にて過去5年間の「リスキング」の検索ボリュームの推移を表示したグラフ

上の図はGoogleトレンドで見た「リスキリング」の検索ボリュームの推移です。過去5年間を表したグラフですが、2021年ごろから急に右肩上がりになっているのが分かると思います。

ダボス会議でリスキリングが取り上げられたり、世界の有名企業がリスキリングについての取り組みを公表するなど世界規模で注目が集まっています。

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なぜ、今リスキリングが必要なのか?

リスキリング教育が注目される背景には、やはりデジタル化における社会、ビジネスの大きな環境変化があります。リスキリングの先駆者と言われている、アメリカの情報通信会社「AT&T」は2008年に行った社内調査の結果として、従業員25万人のうち、事業に必要なサイエンスやエンジニアリングのスキルを持つ人は約半分に過ぎず、およそ10万人の従業員は、10年後には存在しないであろうハードウェア関連の仕事のスキルしか持っていない、という衝撃の内容を公表しました。

この事態はもちろんAT&Tに限った話ではなく、目まぐるしく変化する社会の中で、次々に発展していくデジタルツールを使いこなせる人が全く足りていないのです。デジタル技術を活かしながら新たな価値を創造できる人材の確保が、国・業種・規模を問わず、多くの会社の課題となっています。

このわずか20年、30年の間だけを考えてみても、私たちの身の回りの生活は大きく変化しました。企業がその社会の変化に合わせて事業戦略を組み立てたり、ビジネスモデルを変化させるのは当たり前です。そして事業戦略やビジネスモデルが変わる以上、人材戦略も必然的に変えていかなければいけないのです。

日本の多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない理由の一つには、既存の人材戦略のまま新しいことをやろうとしているという点も挙げられます。ただツールを導入して「なんか上手くやっといて」で上手くいった例を私たちは見たことがありません。

リスキリングによって従業員の能力やスキルを再開発することではじめて、デジタル技術を活用し、会社を新たなフェーズへと押し上げることができるのです。

次のステップにのぼる

中小企業こそ、今すぐリスキリング教育を開始すべき3つの理由

リスキリングに限らず、世界的に注目されている取り組みに真っ先に目をつけ実践するのは、資金に余裕のある大企業であることが多いです。リスキリングも同様で、すでに誰もがその名を知る、日立製作所や富士通などがリスキリングに乗り出しています。

ただ、私たちは中小企業こそ、今すぐリスキリング教育を考えるべきだと強く主張します。そこには3つの理由があります。

理由① 今リスキリング教育をやれば、他社と圧倒的な差がつくから

経済産業省は「第3回デジタル時代の人材政策に関する検討会」の中で日本の現状として
・既存ビジネスの効率化が企業のミッションとなっている
・ITが既存ビジネスの効率化や改善のための道具でしかなく、経営における差異化の源泉にはならない
という点を指摘しています。

この状況ではそもそもデジタル人材を雇ったり、リスキリングを通して社員をスキルアップさせるメリットが少なく、企業が動かない理由となっています。

しかしコロナ禍における急速なオンライン化、またグローバルな視野で見たときの潮流から考えると、今後の日本企業の方向性として
・企業のミッションは、新たな価値の創造や革新
・IT自体がビジネス創出や革新の武器となり、企業経営における差異化の源泉となる

という向きへ動いていく流れが加速することも予測されます。

そうなると、企業にとってもデジタル人材をスキルアップさせるメリットが大きくなり、また新たなビジネスを軌道に乗せていくことで、デジタル人材に高い報酬を払う原資を獲得することにもつながります。

経済産業省「第3回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」資料より引用

ただし、社会がそのような状態になってはじめてリスキリングの重要性に気づき、デジタル人材の育成に乗り出してはもう遅いのです。まだ他社が様子見で足踏みしている今、先にその一歩を踏み出すことで、5年後、10年後に圧倒的な差が生まれます

理由② 都合の良い即戦力は存在しないから

「わざわざリスキリングで社内の人材を育成しなくても、必要になったら中途採用で雇うよ」という経営者の方がいらっしゃいます。肌感覚ではありますが、特にこの傾向は即戦力を求める中途採用ほど多いと感じます。

しかしこの考え方は危険です!

まず、そもそもデジタル人材が不足しているからこそ、今リスキリング教育の重要性が叫ばれています。特に優秀なデジタル人材は引く手数多で、大中小規模問わず、多くの企業が喉から手が出るほど欲しがっています。結果的に高い報酬を支払える大企業がその多くを獲得しており、中小企業が優秀なデジタル人材を採用するのは現実的に難しいと言わざるをえません。

また、一人の優秀なデジタル人材に頼る状況を作ってしまう危険性もあります。どんな職種でも同じですが、特定のエキスパートが全てを担っているような業務は、その人がいなくなると途端に立ち行かなくなります。せっかく積み上げてきた仕組みも、その人しか理解できなければその後に活かすこともできません。

リスキリング教育は、基本的に「全社員」を対象とします。経営者自身の意識改革も含め、全ての社員が当たり前のようにデジタルツールを使いこなせるようになれば、社員同士でカバーし合うことができます。また会社としての方針が定められ共有されているからこそ、特定の誰かが離脱することになったときにも、会社としてはブレることなく事業を押し進めることができます。

理由③ 既存の社員は、自社業務のプロフェッショナルだから

理由②で中途採用の話をしましたが、「人を雇うのではなく、外注する」という選択肢もあります。ただ自社の業務領域に関する知識を持たない外部の人材は、デジタルやツールについての知識は豊富でもそれが実際の現場で活きるかといえば必ずしもそうではありません。

多くの経営課題は、システムを入れ替えただけでは解決しません。これまで多くの業務改善の現場を見てきたからこそあえて言いますが、自社の業務について何も知らない外部の人材の手を借りるよりも、すでに自社の領域や業務について詳しい人材をリスキリングしたほうが、会社としてのDX推進力は強いのです。

これまでアナログばかりだった会社でも、うまくDX化できていない会社でも、既存の社員の方々が自社業務のプロフェッショナルであることは間違いなく言えるはずです。彼らにデジタル対応力という新たなスキルが加わることでまさに「鬼に金棒」状態を作ることができるというわけです。

また、リスキリングの場では、実際の現場の課題を対象にすることで、社員一人ひとりが、スキル習得をただの押し付けではなく、自分ごとと捉えて取り組むことができるというメリットもあります。加えてそうした教育機会を提供することで、生産性アップはもちろん、優秀な人材の定着率が上がり、会社としての成長にもつながることが期待されています。

これからの人材育成は「リスキリング」がキーワードに!

人材不足が叫ばれる今だからこそ、一人ひとりの力を最大化する「人材への投資」の重要性がますます高まっています。今後リスキリング教育は間違いなく、企業の人材戦略の大きな柱となるはずです。経営者、人事に携わる方々は、今すぐ行動を起こしましょう!

MOVEDではDX化に悩む企業の「伴走パートナー」として、デジタルツールの導入だけでなく実際の活用やスキル習得のトレーニングまでお手伝する『ハタトレ』というサービスを提供しています。私たちが目指すのは、最終的にクライアント企業が『ハタトレ』のサポートなしに自走できる状態まで引き上げることです。

われわれ働き方トレーナー=ハタトレ䛿、業務䛾プロであるお客さまに寄り添い、業務改善䛾ノウハウを惜しみなく提供します。

ハタトレとお客さま䛾タッグで、さまざまな業務䛾課題を、一緒に業務改善していきましょう。
さらに将来䛿、お客様自身が自立して 業務改善を行えるようにトレーニングしていくことが、働き方トレーナー䛾使命です。

「DXには興味があるけど、何からやればイメージがつかない」
「社員のデジタル対応力をアップさせたい!」という方はぜひ一度お問合せ下さいませ。

*参考
経済産業省「第3回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」資料(PDF)
リクルートワークス研究所「リスキリングとはーDX時代の人材戦略と世界の潮流ー」(PDF)

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