2026年5月、新潟県立糸魚川高等学校様からのご指名をいただき、高校2年生向けの「探究プログラム」を実施してまいりました。今回の授業を担当した弊社渋谷が、生徒たちの視点が劇的に変わった授業の様子をレポートします。
今回の特別授業のテーマは、探究学習の最も重要なハードルである「問いの建て方をマスターする」こと。
ネットで検索した情報をただコピペして終わりの「手抜き探究」から卒業し、自分たちの足で地域を歩き、泥くさく探究を深めるためのメソッドを講義とワークショップ形式で伝えました。
生徒の視点が劇的に変わった1時間
授業が始まった当初、多くの生徒は「探究学習」という言葉に対し、どこか「学校から与えられた作業」という受け身の姿勢が見え隠れしていました。しかし、今回のプログラムを通じて、その視点は劇的に変化しました。

授業のハイライトは、生徒たちに提示した3つのリアルミッションでした。
- 観光・経済:観光客が糸魚川にわざわざ泊まる理由を作るには
- まちづくり:みんなの憧れ!糸魚川にスターバックスを呼び込むには
- コミュニティ:ビジネス共創拠点「Catalo」を高校生で満員にする秘訣とは
3つの身近なミッションを元に、問いを立てていこう!

「問いの立て方がわからない」と戸惑っていた生徒たちが、授業の後半には「現状」と「未来像」を書き出し、そのギャップを埋めるための具体的なアクションを考え始めていました。特に「大きな問いから細分化し、自分たちが実行できるサイズにする」という考え方を実践したことで、探究に対するハードルが大きく下がったようです。
授業後、彼らから寄せられた感想には、「やらされる探究」から「自分たちで切り拓く探究」へと意識がシフトした瞬間が色濃く反映されていました。ある生徒は「今までは問いが決まっているから取り組みやすかったけれど、自分たちでゼロから決めるのは本当に大変だと思っていた。でも、今日の講義で道筋が見えました」と話してくれました。また別の生徒からは、「地元の私たちには当たり前すぎて魅力に気づけていなかったけれど、外から見た糸魚川にはこんなに可能性があるんだと驚きました。自分たちも積極的に関わりたいです」という頼もしい声が上がりました。

自分たちの住む街を見つめる目が変わり、その中に「探究すべき課題」を見つけ始めた生徒たちの姿は、まさにこのプログラムが目指していた未来そのものでした。

なぜ「問いの建て方」が重要なのか?
探究学習において多くの生徒がぶつかる最大の壁は、「何について調べればいいのかわからない」「問いが壮大すぎてどこから手をつければいいのか見当がつかない」という悩みです。私たちは授業の中で、以下の3ステップこそが探究の成功を握る鍵であると伝えました。
- 現状と未来像のギャップ(課題)を明確にする: 理想を語るだけでなく、現状との差を具体的に言語化する。
- そのギャップがなぜ生まれているのか(原因)を深掘りする: 表面的な現象に惑わされず、なぜそうなっているのかという背景に目を向ける。
- 自分たちが取り組める「ワクワクする問い」に変換する: 大きな社会問題をそのまま抱えるのではなく、自分たちの手の届くサイズにまで問いを落とし込む。
ただ情報を収集するだけでは、それは単なる調べ学習で終わってしまいます。「なぜそうなるのか?」を考え、解決のための階段を一つずつ設計すること。そのために糸魚川での観光や、共創拠点「Catalo」での取り組みを題材に、実際に生徒たちが自分なりの問いを立てるプロセスを体感してもらいました。
生徒たちのリアルな「本音」と熱量
今回、アンケートには私たちの想像を超える熱い言葉が並びました。
「ネットで調べてコピペすれば、楽に終わらせることはできます。でも、それでは結局何も残らないし、他の班の発表を見た時に恥ずかしい。これからは、たとえ時間がかかっても、自分たちが納得できる、泥くさくて深い問いに挑戦していきたいです。」(2年生・生徒)
「駅の近くにCataloという施設があることを今日初めて知りました。昨年度の先輩が勉強場所として使っていたり、新しいビジネスが生まれたりしていると聞いて、どんな空間なのか、いつか利用してみたいと興味が湧きました!」(2年生・生徒)
「課題解決の本質について深く理解できました。大きな問いを細かくしていくという考え方は、勉強や普段の生活の悩み事にも使えそうだなと思いました。とても良い学びでした。」(2年生・生徒)
これらの言葉から伝わってくるのは、彼らが探究活動を通じて「自分の力で道を切り拓く」ことの面白さに気づき始めているという確かな変化です。

「終わった後にハイタッチできる」探求活動を
授業のはじめに伝えたのは、「中途半端にやることもできるけど、もったいないしカッコ悪いよ。せっかく貴重な時間を使うのだから、終わった後に『やりきった!』と心からハイタッチできるような探求活動にしよう」というメッセージです。
糸魚川には、地域を盛り上げようとする大人がたくさんいます。
Cataloのような拠点もあり、私たちが全力でバックアップできる環境も整っています。今回のプログラムは、彼らが主役となる探究のスタート地点に過ぎません。
「糸魚川から新しい化学反応を生み出したい!」と瞳を輝かせてくれた高校生たち。彼らがこれからどのような問いを立て、どのような解決策を導き出し、地域の未来をどう変えていくのか。MOVEDはこれからも、地域の大人として彼らの「一歩踏み出すきっかけ」に伴走し続けます。
泥くさく、本気で楽しむ。そんな探究活動が、この糸魚川から次々と生まれる未来が今から楽しみでなりません。
