IPAが「 コミュニケーションデザイナー 」を新設|社内にDXを伝える仕事が、国の人材像に加わりました

IPAが「 コミュニケーションデザイナー 」を新設|社内にDXを伝える仕事が、国の人材像に加わりました

新しいツールを導入した。手順書も作った。説明会も開いた。

それでも現場で使われない。

DXを進めている多くの会社が、一度は通る場面ではないでしょうか。

こうしたとき、原因は担当者の熱意や現場の理解力に求められがちです。

けれど2026年4月に改訂されたデジタルスキル標準 ver.2.0 を読むと、別の見方ができます。

そもそも「 伝える 」という役割が、体制のなかに用意されていなかったのではないか。

ver.2.0 では、デザイナー類型に「 コミュニケーションデザイナー 」というロールが新しく加わりました。

本記事では、この役割が何をするものなのか、そして社内でどう育てていけばよいのかを解説していきます。

本記事で解決できること

  • コミュニケーションデザイナーがどんな役割かわかる
  • なぜ2026年の改訂で新設されたのかがわかる
  • 社内で育てるために必要な3つの力がわかる

本記事の想定読者

DXやツール導入を進めているものの、社内に浸透せず悩んでいるご担当者様。広報・企画部門の方も対象です。


コミュニケーションデザイナーとは、どんな役割でしょうか

デジタルスキル標準 ver.2.0 のデザイナー類型は、3つのロールで構成されています。

ロール担うこと
サービスデザイナー社会、顧客・ユーザー、社内外関係者の課題や行動から顧客価値を定義し、製品・サービスの方針( コンセプト )を策定する
UX/UIデザイナー製品・サービスの顧客・ユーザー体験を設計し、情報設計や機能、外観、動的要素のデザインを行う
コミュニケーションデザイナーステークホルダーやユーザーとのタッチポイントを横断し、ブランド理念とビジョンを言語化する

このうち、3つ目が今回の新設です。

IPAによる定義をもう少し詳しく見てみましょう。

ステークホルダーやユーザーとのタッチポイントを横断し、ブランド理念とビジョンを言語化する。一貫したメッセージングとビジュアル・コンテンツで、製品・サービスの意義や使い方を正しく伝える体験を設計する。制作から運用まで統括し、顧客データやフィードバックを活用してコミュニケーション施策を継続的に最適化する。

長い定義ですが、要点は3つに絞れます。

  • 言語化する … 理念やビジョンを、伝わる言葉にする
  • 一貫させる … 接点をまたいでメッセージとビジュアルをそろえる
  • 改善し続ける … 反応を見ながら伝え方を最適化する

「 見た目を整える人 」ではありません

デザイナーという名前から、資料をきれいにする人を想像されるかもしれません。

定義を読むとわかるとおり、そうではありません。

意義や使い方を正しく伝える体験を設計する ことが仕事です。

順番も明確です。まず言語化がある。その次にメッセージとビジュアルが来る。

つまり、何を伝えるべきかが決まっていないまま、見た目だけ整えても届かないという前提に立った定義になっています。

社内でツールが使われないとき、多くの場合つまずいているのは最初の段階です。

なぜこれを導入するのか。導入すると誰の何がどう変わるのか。ここが言葉になっていないまま、操作手順の説明から始まってしまう。

思い当たるところはないでしょうか。


なぜこの役割が必要とされたのでしょうか

IPAは改訂の趣旨として、デザイナーの活躍する領域を見直し、新たに確認したコミュニケーション領域におけるロールを追加した、と説明しています。

背景を裏づける数字が、IPAが2026年7月に公表した「 DX動向2026 」にあります。全国1,799社への調査結果です。

経営者・IT部門・業務部門の協調状況について、「 十分にできている 」「 まあまあできている 」と答えた割合を、DXの成果の有無別に見た結果がこちらです( 図表2-11 )。

DXの成果協調ができていると回答
成果が出ている企業72.9%
成果が出ていない企業37.1%

差は35.8ポイントです。

IPAはこの結果について、部門間の協調とDXの成果創出が強く関係していると述べています。

成果を分けているのは、技術力や予算ではなく 部門をまたいで話が通じているかどうか だ、と読める数字ではないでしょうか。

その通り道をつくるのが、コミュニケーションデザイナーの役割にあたります。

同じ調査では、ビジネスアーキテクト類型に新設された「 ビジネスアナリスト 」も、取組関係者のコミュニケーションハブとなり利害調整を行う役割として定義されています。

伝えることを担う役割が、ver.2.0 では複数の類型にわたって明示された。 これが今回の改訂の特徴の一つです。


この役割、実はもう社内にいるかもしれません

コミュニケーションデザイナーを採用しよう、という話ではありません。

社内を見渡してみてください。

  • 導入の目的を、部署ごとに言い方を変えて説明している方
  • 経営層向けの資料と現場向けの資料を、それぞれ作り分けている方
  • 説明会でうまく伝わらなかった部分を、次の回で直している方

こうした動きをしている方は、すでにコミュニケーションデザイナーの仕事をしています。

これまでは「 説明が上手な人 」「 資料作りが得意な人 」としか呼ばれてこなかった働きに、国の標準で名前がついたということです。

役割に名前がつくと、次の3つが変わります。

  • 業務時間として認めやすくなる
  • 必要なスキルを整理して育てられる
  • 評価の対象にできる

善意でやっていた仕事を、仕組みに変えられる。 これが新設の実務的な意味だと考えています。


育てるために必要な3つの力

では、どんな力を伸ばせばよいのでしょうか。定義の3要素に沿って整理します。

1. 言語化する力

理念やビジョン、導入の目的を、聞き手に合わせた言葉に翻訳する力です。

同じ内容でも、経営層には投資対効果の話として、現場には日々の手間がどう減るかの話として伝える必要があります。

ここは資料のスキル以前の、思考と構成の領域です。

2. 見せる力

言語化した内容を、図や資料に落とす力です。

専門的なデザインスキルは必ずしも必要ありません。近接・整列・反復・対比といったデザインの基本原則を押さえるだけでも、伝わり方は大きく変わります。

Canvaのようなツールを使えば、デザイン未経験の方でも形にできます。Canva実践研修は、この領域を扱うプログラムです。

3. 伝える力

同じ資料でも、話し方で伝わり方は変わります。

説明会、経営会議、部署ごとの勉強会。場面に応じた話の組み立てと届け方が必要です。

MOVEDのプレゼン研修は、シナリオ・デザイン・トークの三位一体を軸に組み立てています。この3つは、まさにコミュニケーションデザイナーの定義に重なります。

組織全体で底上げしたい場合はプレゼン企業研修、特定の場面での成果を狙う場合は個別指導という選び方もあります。


まとめ|伝える仕事が、正式な役割になりました

本記事では、デジタルスキル標準 ver.2.0 で新設されたコミュニケーションデザイナーについて解説しました。

  • デザイナー類型は、サービスデザイナー・UX/UIデザイナー・コミュニケーションデザイナーの3ロール構成に
  • コミュニケーションデザイナーは、理念やビジョンを言語化し、一貫した伝え方を設計・運用する役割
  • 見た目を整える役割ではなく、伝わるように設計する役割
  • 背景には、部門間の協調とDXの成果の関係がある。協調できている割合は成果が出ている企業で72.9%、出ていない企業で37.1%( IPA「 DX動向2026 」図表2-11 )
  • この役割を担っている方は、すでに社内にいる可能性が高い
  • 必要なのは、言語化する力・見せる力・伝える力の3つ

DXが社内に伝わらないとき、担当者の努力が足りないわけではありません。

伝えるという仕事に、名前と時間が用意されていなかった。 そう考え直すところから始められます。


社内の「 伝わらない 」を、一緒にほどきませんか

「 誰に何を伝えるかの整理から、社内だけでやりきる自信がない 」

そう感じた方も多いのではないでしょうか。

何をどの順番で伝えるかは、組織のかたちや、これまでの社内の経緯によって変わります。外から見たほうが整理しやすい部分でもあります。

MOVEDは850社を超える企業様のご支援を通じて、大手企業から地方の中小企業、自治体まで、規模を問わず「 伝わらない 」の構造を見てきました。伝える内容の言語化から、資料のかたち、話し方の設計までを一貫して伴走しています。

まずは相談からでもお気軽にお問い合わせください。いまの状況をうかがったうえで、どこから手をつけるとよいかを一緒に整理します。

サービスの内容を先に確認したい方は、資料ダウンロードもご利用いただけます。

チームの課題に合わせた形で試したい場合は、プレゼン企業向け勉強会という選択肢もあります。


参考


contact

資料ダウンロード /
お問い合わせ

MOVEDの各種サービスをより深くご理解いただくための資料をご用意しております。下記フォームからご用命くださいませ。

弊社へのお問い合わせは、以下のメールフォームからお願いいたします。