業務改善は90日で結果を出す!業務改善のPDCAサイクルを効果的に回す3つのポイント
デジタル化が進む中、業務改善や生産性向上に向けた取り組みに本腰を入れる企業様が増えています。しかし、デジタル、DX、システムなどの手段が先行し、本質的な業務改善に繋がっていなかったり、やりっぱなしで終わっているケースが散見されます。ゴールが分かりづらい業務改善こそ、しっかりと目標を立て、PDCAサイクルを回しながら業務品質を向上していく必要があります。
※業務改善方法の1例であり、当社がこの考えのもとサービスを提供しているわけではございません。
なぜ、業務改善にPDCAサイクルが必要なのか?
「PDCAサイクル」という名前は、皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
P:Plan(計画)
D:Do(実行)
C:Check(測定・評価)
A:Action(対策・改善)
この4つの仮説・検証プロセスを循環させ、マネジメントの品質を高める方法です。概念自体は難しくなく、納得感も強いためすぐに受け入れられますが、それ故に「PDCAを回している気」になりがちなところが、このPDCAサイクルの落とし穴と言えるかもしれません。
例えば、目標が漠然としていたり、行動しているようで計画に沿っていなかったり、検証が的確でなく担当者の感覚頼みだったり、やりっぱなしで終わっていたり・・・なんてことはどこの会社でも往々にして起こっていることです。
PDCAサイクルは、繰り返し循環させることでより品質を高めていくことができるフレームワークですので、一度で終わりではなく、何度も、そして連続しながら回していく必要があります。
「業務改善」は特にその範囲も広く、分かりやすく成果が業績に反映されるまでの期間も長いです。そのため、中長期的なゴールから逆算してプロセスを細分化し、こまめにPDCAを回していくことで、方向性を見失わず、効果的な業務改善に向けた動きができるようになります。
また、社会情勢の変動が大きい今、自社は変わらず動いているつもりでも、いつのまにか社会の流れからズレてしまうことも少なくありません。そういう意味でも、定期的に振り返り、次に向けての行動設計をすることはとても重要です。
最近、「PDCAは古い」なんて言われることもありますが、まずは基本のPDCAをしっかりと回していきましょう!
今回は、業務改善においてPDCAを回す際の3つのポイントをご紹介します。
業務改善PDCAサイクルのポイント①
90日以内に結果を出す
業務改善においては、90日(=約3ヶ月)というサイクルを一つの目安として考えるのがおススメです。何をやるかにもよりますが、他部署を巻き込むような大規模な業務改善プロジェクトだと、90日で全て完了するのはきっと難しいはずです。
ですので、まず90日という期間で達成できる中間目標を設定します。そこから具体的な行動を設計し、3ヶ月後に90日間の検証を行い、さらに次の90日間のアクションプランを練ります。
プロジェクトの期間が長くなればなるほど、関係者の熱気は冷めていきます。また大規模なプロジェクトであれば最終的なゴールが果てしなく遠く感じられ、具体的なイメージが持ちづらいのも難点です。
3年後のイメージは持てなくても、90日後のイメージはどうでしょうか?「そこまでだったらやれそう」という手が届きそうな目標を設定することで、やる気と行動が持続します。
また、業務改善においてなにか目に見えるような形での結果が出るには30日だと短すぎます。何事もそうですが、実際に行動に移してからそれが結果に反映されるまでにはタイムラグが発生します。
90日という期間は、モチベーションが持続し、かつ変化が見えやすいという、ちょうど良い期間なのです。
業務改善PDCAサイクルのポイント②
検証できる目標を立てる
PDCAサイクルの3番目「Check(検証)」はとても重要な項目ですが、おざなりにされがちなポイントでもあります。「結構いい感じでしたね」「スムーズにできました」「お客様からの反応良かったですよ」など、担当者や関係者の感覚を共有しただけで、振り返りが終わってしまうことはありませんか?
検証を正しく行うためには、まず現状を見える化した上で、検証可能な目標を立てる必要があります。
最も分かりやすいのが、「定量目標」です。目指すべき状態を数値化する目標のことで、「社員の残業時間を40%削減する」「売上3億円を達成する」など、達成された状態が一目で分かるのが特徴です。
ありたい姿を設定する「定性目標」は検証しづらいと言われますが、ここも少し工夫をすることで検証が可能です。「風通しの良い組織にする」「顧客満足度を上げる」というと、やりたいことは理解できますが、漠然としていて達成できたかどうかの目安がありません。
定性目標を検証するためにここでは2つのアプローチ方法を考えます。
(1)定性目標を達成するための、行動目標を設定する
例えば、「風通しの良い組織にする」という目標に対して、
・仕事以外のコミュニケーションを促進するため、部活や飲み会に会社から補助金を出す
・リーダーとメンバーの1on1を週に1回実施する
・「今週のMVP」をメンバーが1人ずつ指名する
など、具体的な行動目標を設定することで「やったか/やっていないか」の検証がまず可能です。
また、行動の結果、どのような変化が起きたのかという定性情報のヒアリングも忘れずに行いましょう。
(2)定性目標を達成している状態から、検証可能な数値目標を立てる
「顧客満足度を上げる」ということは、具体的にはどのような状態を指すのでしょうか?
・アンケートの満足度が90%以上
・リピート率が3割を超える
など、定性目標に関連する定量目標を設定します。
ここでは、あくまで「定性目標」があった上での「定量目標」であることが重要です。それを無視してしてまうと「リピート率を向上させるために、リピーター様特別割引を実施しよう」など、本来の目標とは関係のないアクションプランが実行されてしまう可能性があります。
業務改善PDCAサイクルのポイント③
ちょうどよく実行可能なアクションプランを立てる
ポイント①の中で、90日で結果を出すことの意味をお伝えしましたが、実際の計画も「90日でできる」ものを立てなければいけません。
「デジタル人材が不足しているので、DX部門を任せられる人材を採用する」という目標をたてたところで、おそらく90日で、部門を任せられるような優秀な人材を確保するのは無理です。大きな予算が必要なプロジェクトの場合、四半期の途中からまとまった金額を確保することも難しいのではないでしょうか。
業務改善は、組織全体に関わる大きな問題ですので、リソースや予算の確保を先に考えられがちですが、まずは今からでも取り組めるようなことから始めてみませんか?
とはいえ、アクションプランは簡単すぎるものでもいけません。やれば2週間で終わるようなプランを3ヶ月かけてやる計画を立てていてはいつまでたっても組織は変わりません。「ちょっと背伸びをしないと届かないけど、できそう」なくらいの設定がちょうど良いのです。目標設定やアクションプランも何度もPDCAサイクルを回していくことで、ちょうど良いものが描けるようになります。
大切なのは、業務改善の「目的」を見失わないこと
今回は、業務改善におけるPDCAサイクルを回すポイントをご紹介しました。
P:Plan(計画)
D:Do(実行)
C:Check(測定・評価)
A:Action(対策・改善)
どのフェーズにおいても、大切なのは本来の目的を見失わないことです。私たちもこれまで、多くの企業様の業務改善プロジェクトに関わらせていただきましたが、手段が目的化してしまっているケースをたくさん見てきました。
・業務を改善することが目的だったはずなのに、いつのまにか新しいシステムを導入することが目的になり、結果的に非効率な仕事を現場に押し付けている
・生産性を向上させることが目的だったはずなのに、「残業時間の削減」という目標に囚われてしまった挙句、社員には定時でタイムカードを押させ、サービス残業をさせている
そんな事例は枚挙にいとまがありません。今回ご紹介したように、プロセスを細分化しながらPDCAサイクルを回していくというあり方は、定期的に本来の目的を見つめ直すという意味でも効果的です。