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プロが意識する「伝える」ということ。そのコツとは/桜野友佳×櫻井飛鳥 対談
2019.12.17|つたわるプレゼン

長年プレゼンターとして最前線で活躍しているMOVED桜野友佳と櫻井飛鳥。トークのプロが考える「伝わるプレゼン」の秘訣を直撃。キーワードは、「緩急をつけた感情の波」「ストーリー」「ドラマチックなプレゼン」だそう。プレゼンでの話し方についてのコツから、今すぐできる練習法まで伺いました!
桜野友佳プロフィール
大阪府枚方市出身。同志社女子大学 学芸学部 日本語日本文学科卒。2006年から2014年まで、FMひらかた にてラジオパーソナリティを担当。2015年よりセミナーや式典での司会をはじめ、展示会でのプレゼンテーション代行やトークショーMC、ゲーム実況など様々なイベントでMCを務める。


代表の渋谷さんとお話し、MOVEDへの参加が決まったタイミングの展示会で偶然、桜野さんを発見! 「MOVEDの人ですね?」といきなりナンパしちゃいました(笑)
櫻井飛鳥プロフィール
静岡県静岡市出身。2010年よりBtoB、BtoC問わずイベント、展示会でのスピーカー代行、MCとして活動。IT、医療、印刷業界等、専門用語が並ぶプレゼンテーションのスピーカー代行経験多数。『想像力×共感力』を活かしたアプローチを得意とし、現場で実際に働く人々の想いに寄り添ったプレゼンが強味。


飛鳥さんは、初めて会ったのに初対面の気がしない、「親近感と安心感」のある人でした。例えるならば「向日葵みたいな人」。一緒にいる、それだけで元気になります。
飛鳥さんのプレゼンを聞くと、その表情や声から熱意を感じ、全身でメッセージを伝えているんだなと感じました。
ビジネスの場でのプレゼンこそ、定型文じゃない方が印象深い!

プレゼンターとして長年活躍されているお二人ですが、主にどういった場に登壇されることが多いのでしょうか?

ほとんど展示会のプレゼンター代行です。あとは企業のセミナー・イベントでの司会が多いですね。最近はゲームイベントでの実況やトークショーも増えてきて、MCという立場が多くなってきました。
リアルなお客様の反応を見て「この話題は広げよう」「この話はウケが悪いからやめよう」といったように、場に合わせて話し方を変えて、広げていくような役割です。

私もBtoB、BtoCのプレゼン代行、MC、ナレーターが多いです。私の師匠は男性ナレーターで、男性の力強さをもった説得力のあるプレゼンが得意です。
プレゼンする企業様の商品や周辺のトレンドを調査して、プレゼンを行っています。そのせいか、よく社員の人と間違えられますね(笑)

おふたりとも、ビジネス系のイベントでの登壇が多いんですね。ビジネス系のイベントだからこそ、意識していることってありますか?

ビジネス系のイベントは、ちょっとフランクな言い方のほうがウケが良いですね。緩急をつけて、感情の波をストーリーに合わせて作ってドラマチックなプレゼンを意識しています。

私のイメージとして、ビジネス系の展示会は来場者にプレゼンを聞いてもらったり、反応してもらったりすることが難しい印象があります。

私は素朴な疑問や綺麗事抜きの現実的な悩み等、生々しい現場の声を入れるようにしています。
「このような課題が挙げられます」などの、よくある定型文だけじゃなく、生っぽい「困りますよねぇ〜」というようなニュアンスや言葉を添える。お客さんの「だよね!」を引き出すようにしています。

ビジネスの場は定型文が出来上がっていますよね。だからこそ、「今までの形式とは違うな」というものが印象深くなりますね。演出や話し方の要望がなければ、できるだけ会社や社員の雰囲気に近くなるように意識しています。
ビジネスの場は「みんなこうしてるからこうしなきゃ。」に縛られて、うまく言えない、伝わらない…そういう現象が起こっているのは感じますね。
こだわりは「ライブ感」「自分の感情を乗せた情報提供」


同じプレゼンターでも、人によって様々なこだわりがあると思います。自分が話すとき、プレゼンするときに気を付けていることや、こだわっていることがあれば教えてください。

私の師匠は声優さんなんです。なので、話すというより、演じる。感情にフォーカスしています。「何を伝えたいか」だけでなく、伝える先の人の気持ちを敏感に考えています。
お客さんの雰囲気ありきで話し方を変える、まさに「ライブ感」ですね!

でもビジネス系のイベントって、結構お客さんの反応薄いですよね…? 私はプレゼンターの人に申し訳なくて、めっちゃ頷いたり、反応したりしてしまうんですが…(笑)

プレゼンをやり続けていくと、反応が返ってくるキーワードが分かってきます。そこから広げていきますね。最初からは難しいですね。名嘉さんみたいなお客さんは、プレゼンターにとってはすごい嬉しいです(笑)

櫻井さんのこだわりはどんなところですか?

事実に対して自分の解釈を乗せるように意識していますね。お客さんを巻き込むときは自分の解釈、感情を入れていくようにしています。
事実だけは退屈ですよね。「皆様のご発展をお祈りしております(私には関係ないけど)みたいな言い方にはならないように気をつけています。

事実に自分の解釈を載せようと思うと、その企業や商品について、めっちゃ勉強しないといけないですよね。

解釈違いを起こさないように、現場の社員さんに徹底的にヒアリングしています! さらに、クライアントさんの要望を、ノートに絵付きで自分の解釈をまとめています。絵付きで書くことによって、自分の言葉に色が乗るようにしているんです。
ビジネスセミナーの現場で「パフォーマンスを上げるには当事者意識を持ち、関わっている仕事を自分事にすること」という話を聞いたのがきっかけですね。『他人事』ではなく『自分事』としてクライアントの事業やお客様と向き合うことが、伝わるプレゼンの鍵になると思ったんです。

伝わるプレゼンを教えるYoutubeチャンネル検討中!

櫻井さんといえば、11月に開催されたCybozu Days東京に向けた動画が、Twitterで話題になりましたよね!あの動画はどういう思いで作られたのですか?

毎年サイボウズ様のCybozudaysという展示会にMCとして入っていて、幕張メッセの巨大ステージに登壇される方の緊張を、ステージ裏で感じていました。
今年はkintone hackというプレゼンバトル的なプログラムに予選会から関わらせて頂いていたので、いつも以上に「すべての登壇者さんにあのステージを楽しんで欲しい」という思いで作りました。あとはiPad買って嬉しかったことです(笑)

1つ目がサイボウズの青野社長の公式RTがあって、一気にバズりましたよね! 2つ目以降もすごく勉強になるコンテンツばかりでした。

今後はMOVEDのYoutubeチャンネルを立ち上げて、プレゼンのコツを伝えられるよう、検討しています。伝わるプレゼンアカデミーの受講者さんにも出演してもらいたいですね!
受講者さんが作成したプレゼンを私、桜野さん、受講者さんで3パターンやってみる。
同じプレゼンを違う人がやっているのを見るって、新たな伝え方が発見できて面白いんですよ〜。

プレゼンは正解がないので、いろんなお悩みに答えられますよね。

そうなんです。同じプレゼンターでも私と桜野さんはタイプが違うんです。だから、やれることはいっぱいあると思う。
私は、前のめり巻き込みタイプですが、桜野さんは引きの美学があります! 一歩引いて微笑んで、惹きつける。誘なうようなプレゼン。引力強いタイプですね!

そうなんですかね…!でもそこはステージに立つときに意識してますね!

桜野さんから見て、櫻井さんはどういうタイプですか?

私から見た櫻井さんは、寄り添いタイプだと思います。特に先日のCybozudaysの時は「この人、サイボウズの人だ!」と思いました。プレゼンを代行する企業への理解度も高い。
ここまで親身に寄り添えるプレゼンターは多くないと思います。

これからは伝わるプレゼンアカデミーに加えて、タイプの違うお二人が繰り広げるYoutubeチャンネルにも期待ですね!
プレゼンのときだけ別人にはなれない


改めてお二人が「これだけはおさえてほしい!」と思う、プレゼンでの話し方のポイントを教えてください!

私は独り言にならないようにすることを意識しています! 必ず相手がいる。言葉を投げる、伝える。自分の考えを伝えるにしても、独り言にならないように気をつけています。

「伝える」をどれだけ意識するかということですね。意識するためにはどうすれば良いですか? 一人で練習すると、つい独り言になりがちですよね。

話している自分を改めて見て、言葉をどう感じるかを見ています。例えば、動画で撮影する、誰かに聞いてもらうなどです。
また、プレゼン以外で会話をする時でも、「あれ、おいしかったんだよねー」は独り言ですが、「美味しかった」に加えて、なぜ美味しかったかを伝えることを意識します。
意識して話題を広げられるようにする。伝えるようにする。自然とプレゼンしやすくなりますよ。

プレゼンのための練習じゃなくても普段からできますよね。Twitter等のSNSの文章も同じですね。櫻井さんはいかがですか?

初心者の方に最初に意識してほしいのが、「本日はお忙しい中、ご来場いただき、誠にありがとうございます」、これを本当にありがとうという気持ちで言っているか?思っているか?です。
「ありがとう」が、ただの定型文をただ読み上げるだけになっていないか? 自分のプレゼンを聞いてくれている人が、何をしてここまで来てくれたのかを意識してほしいです。
相手を想像して心から「ありがとう」の感情を出す。そして、相手にちゃんと返してもらえるか? が大切ですね。

プレゼンの最初の言葉って、心から言えていない人が多いですよね。心から「ありがとう」を言うために、普段からできることってありますか?

展示会で話すことって一期一会なんです。今日、つながれなかったら二度と会えないかもしれない。
例えば、シーンを想像するなら、自分の恋人に今、本気で「愛してる」を伝えないと、明日会えないかも! という状況ですかね。日常から本気で伝えるのを実践してみてほしいですね。

プレゼンの時間だけ別人にはなれないんですよ! プレゼンだけ練習しても、日常の個性や人柄が絶対に出ます!
普段から意識することで劇的に改善しますよ。逆にプレゼンが変わると、その人の日常も変わると思います。

「何のためにそこに立っているのか?」が飛んでしまっている人が多くいます。決められたことだけやるのではなくて、伝えて、つながるまでがゴールです。

「プレゼンとは人生だ!」といっても過言ではないですね!