働き方改革に必須!業務改善の目的とメリットを徹底解説

業務改善とは、仕事をより効率的に行う取り組みのことです。
社員は現状の業務プロセスや問題点を理解し、改善のための提案に参加してもらうことが重要です。
一方で、業務改善の目的をきちんと理解している方は、少ないのではないでしょうか。
総務省の調査によると、日本の労働人口は2050年までに2021年と比較して、29.2%減少すると予想されています。
企業の労働者の減少が見込まれ、業務改善による効率化は急務と言えるでしょう。
労働者減少による生産性の低下が懸念される以外にも、企業が持続的に成長し、競争力を維持するには業務改善が欠かせません。
本記事では、より業務改善を身近に感じて実践していくために、業務改善の目的と必要性について解説します。
まずは前編からいきましょう。
業務改善は4つの目的が超重要!抑えておくべきポイント
業務改善には主に4つの目的があります。
- 業務効率の最適化
- ムダ、ムリ、ムラを排除して生産性を向上
- 労働環境を改善して働き方改革につなげる
- コストカットを目指す
目的を理解して業務改善しなければ、一時的な活動で終わってしまい、継続できません。
業務改善を始める前に、ポイントを押さえておきましょう。
業務効率の最適化
業務効率を最適化することで、顧客に対して多くの量や高い品質など、より高い価値を提供できるようになります。
例えば、ムダなプロセスの削減や、自動化の導入をすれば、提供できる商品やサービスの生産性向上が可能です。
生産性が向上すれば、削減した時間で商品開発や技術開発など、さらに付加価値を提供できるようになるでしょう。
そのため、業務効率を最適化は、顧客満足度の向上につながります。
ムダ、ムリ、ムラを排除して生産性を向上
「 ムダ、ムリ、ムラ 」は3Mとも呼ばれ、業務の効率化を図るうえで欠かせない着目ポイントです。
この概念を取り入れ、業務改善に成功した企業の代表例がトヨタです。
3Mを排除することで、生産性は向上し、結果的に企業の売上アップにつながります。
3Mのそれぞれの概念と例は以下の通りです。

3Mを洗い出せれば、不要な工程を削除したり、似たような業務をまとめることができます。
これにより、業務効率が上がったり、コストの削減が実現できたりするなど、顧客満足度を高められます。
労働環境を改善して働き方改革につなげる
働き方改革とは、日本政府が推進する「 働く人たちの労働環境を改善し、多様な働き方を実現するための取り組み 」です。
労働環境を改善することで、人材の確保や、働く人たちのニーズの多様化に対応でき、売上や利益の向上に期待できます。
働き方改革の具体例は以下の通りです。
- 長時間労働の是正…労働時間の短縮、働きすぎによる健康問題の減少
- 多様で柔軟な働き方の実現…テレワークやフレックス制の導入
- ワークライフバランスの向上…育児・介護休業制度の整備、有給取得率の向上
- 高齢者の雇用促進…定年延長や再雇用制度の導入
魅力的な職場を作ることで、企業は少子高齢化に伴う労働力不足の解消や、優秀な人材確保と定着、企業のイメージアップにつながります。
また、働く人たちには、健康維持やワークライフバランスの向上、多様な働き方の選択肢が増えるメリットがあります。
このように労働環境の改善は、企業と労働者、双方にとって持続可能な成長を促すことが期待されています。
コストカットを目指す
業務のムダをなくすことで、コストを削減できます。
たとえば、製品の不良率の低減や、残業時間の削減などが代表例です。
ただし、業務改善のコストメリットと、業務改善に取り組むための工数・費用のバランスの見極めが大切です。
業務改善はなぜ必要なのか?2つの具体例を紹介
業務改善が必要な理由は主に2つあります。
以下で、具体例をそれぞれ解説します。
生産年齢人口が減り、人手不足に陥る可能性があるため
生産年齢人口とは、働ける人の数です。
厚生労働省の調査によると、生産年齢人口は1995年がピークで約8,700万人でしたが、2025年には約1,600万人減少し、約7,100万人になると予想されています。

このように、少子高齢化に伴い、年々子供の数は減少しており、人手不足に陥る可能性が高いことが分かります。
人手不足になれば、これまでより少ない人数で、従来の業務をしなくてはいけません。
業務改善を行わず、従来の方法で仕事を続ければ、売上や利益の減少、最悪の場合、会社の倒産もあり得るでしょう。
多様化した働き方に対応する必要があるため
働き方改革を促進するため、企業は従業員のニーズやライフスタイルの変化に対応し、働きやすい環境を提供しなくてはいけません。
なぜなら、フレックス制度や時差出勤など、柔軟に働き方を選択できる環境は、従業員のモチベーションや生産性向上につながり、人材の確保、定着に役立つからです。
たとえば、総務省の調査によると、新型コロナウィルスの流行により、2022年にテレワークを導入した企業は50%を超えました。

このような社会的背景もあり、多様化した働き方が浸透してきています。
多様化した働き方にはデジタルトランスフォーメーション化(DX化)が必要であり、経済産業省でも産業のDX化を推進する傾向です。
労働力不足による、人材確保はいずれの企業においても大きな課題であり、多様化した働き方への対応には業務改善が必要不可欠でしょう。
業務改善の3つのメリット
業務改善の3つのメリットは以下の通りです。
業務や問題が見える化、共有化できる
業務改善でムダ・ムリ・ムラを洗い出すと、業務の問題が見える化し、共有可能です。
たとえば、業務を細かく分析したり、属人化している作業が見えるようになれば、課題や問題を特定できます。
また、課題や問題をチーム全体で共有することで、目標に向かって一体となって作業することができるでしょう。
さらに業務改善の進捗状況もわかるようになるため、継続的かつ、効率的な改善活動に役立ちます。
解決するべき問題の糸口が見つかる
問題が見えるようになれば、解決の糸口が見つかります。
何か改善したいと思っていても、何が問題になっているのか分からなければ解決が望めません。
業務改善を行っていく中で、業務フローや担当の部署などを確認すると、作業者や手順、設備など、どこに問題の原因があるのかを特定できます。
特定された問題は、重要かつ緊急性の高いものから優先して改善すると、他の問題に対する改善の糸口になるものもあります。
一時的な活動ではなく、実行した解決策の効果を測定し、継続的に業務改善を行うこと(PDCAサイクル)が重要です。
業務の負担が軽減できる
業務改善を行えば、ムダな作業や手順が削減され、業務プロセスが効率化されます。
これにより、同じ作業をより短時間で行えるなど、従業員の負担やストレスが軽減されるでしょう。
業務負担を軽減する業務改善の事例は以下の通りです。
- ルーチン作業や手作業の自動化(マクロやRPAの導入)
- 業務の統合・廃止
- 業務の外注やアウトソーシング
まずは、誰にどのような負担が、どれくらいあるかを洗い出しましょう。
以降、後編(別記事)では、業務改善の原則や、今すぐできる業務改善のアイデアも紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

北野百恵